もしも、歯科医院がラーメン屋さんだったとしたら
前回は高額な自費治療が歯科医院の経営上の観点においても何処にでもある事ですよ。というお話をさせて頂きました。
今回は、歯科医院の本質的な差別化、歯科医院ごとの違い、という事に対して触れてみたいと思います。
まず、突然ですがラーメン屋について考えてみてください。最近はラーメン一杯の価格って僕が子どものころに比べてめちゃくちゃ高くなってるな。と感じます。僕は今、40代半ばですが、子供のころは一杯のラーメンに500円以上払った記憶はありません。中学一年の時に、友達に100円で食べれるラーメン屋があるから教えてやると言われ、一緒に行ったら友達に紹介料で100円払った記憶があります。そんな話はどうでも良いのですが、だいたい福岡でも有名どころでは700~900円と言った所でしょうか?東京ならもっと高いでしょう。
これって、味という価値を提供する代わりにラーメン屋さんが対価としてお金を受け取っているのであって、ラーメン屋さんが自信のあるラーメンならばこの値段と決めている価格ですよね。高くてもおいしいから消費者がいて、消費者もおいしいからお金を払う。まずいと思えばお金は払わない。ラーメン屋さんはよりおいしいラーメンを作ればお金になるのでおいしいラーメンの研究を続ける。結果的に少しラーメンの値段を上げても美味しければ消費者が出てくる。こうやって昔僕が食べた100円のラーメンよりも、はるかにおいしいラーメンが世に出ているわけです。
もし、仮にですよ、仮にですが国の法律でラーメン一杯の価格は全国一律で500円にする。その代りに税金からクーポンで350円のチケットを配布する。という法案が通ったらどうなるのでしょうか?
消費者は150円でラーメンが食べられるのだから、当然150円のラーメンに殺到しますよね。
しかしながらラーメン屋さんにとってみれば一杯500円の収益ですから、以前より品質も下げなければなりません。東京のラーメン屋さんはそのままではラーメンの収益が見込めないので500円のラーメンはあきらめて、別の事を始める人も出てくるかもしれません。若しくは500円のラーメンをいかに安く作るかを研究して500円でも儲かる材料などの研究をする人も出てくるかもしれませんね。でも、材料原価にお金がかかるので限られた材料を使うしかない。それに、お金になるには最低でも50人ほどは回転させるしくみを作らなければいけません。今までは味に差をつけて高く売っていたうちのラーメン屋と隣のラーメン屋とも同じ値段なので、隣のラーメン屋よりもよりお客さんが入るように努力しなければなりません。いずれにせよ大変なことなので、より美味しいラーメンが世に出る可能性は少なくなると思います。
あくまでも想像ではありますが、一定の消費者がいなければビジネスは成り立ちませんし、よりおいしいラーメンを提供するには価格を上げなくてはより良いサービスが提供できないのではないかと思います。
話を戻しますが、歯科医療に例えると保険の治療はこの中の500円のラーメンです。
言い換えると、サービスの差別化が難しい部分が保険の治療であって、今世の中にあるおいしいラーメン、つまりは価格が高くてもより良いサービスを提供して、それぞれのラーメン屋が切磋琢磨して美味しいものを提供しようとしているものが歯科医院における自費治療です。
クーポンを使って150円のラーメンを食べるか、より美味しいものを食べたいので一杯に700円~900円払うのか?
消費者的には150円のラーメンを選ぶのは当然の発想ですが、より良いラーメンの世界を知ってる方はそれだけ払ってでも美味しいものを食べたいと思うでしょう。つまりは150円のラーメンを食べる人はその中でえらぶべきであって、高いお金を払ってでも美味しいものを食べたいと思う人は、そもそも考えや求めるものが違うので、味に関しては同者は同じ基準で味の評価を出来ないという事です。
言い換えると歯科医院では、資本主義的な差別化が働いている部分が自費の治療だと思います。というより差別化するにはそれなりの原価もかかりますし、良いサービスを提供するにはそれなりの値段を付けなければなりません。技術的な自己投資も必要ですし、売れなければ儲けにもならないのです。つまりは、その医院が100%満足いくようにフルパワーで技術的にも全力を出し切っている分野が自費診療ですので、本当の意味で先生の腕が上手なのか下手なのかはそれぞれの医院の自費診療でしか比較できないのです。
ラーメン屋でいえばそのお店が、「うちの店での自信の一品」という本気のラーメンを、消費者が、この程度しかないのかと思われればそのラーメンは食べる必要は無いのでしょうが。
ちょっと比喩が突飛すぎたとは思いますが、まとめますと、
保険治療だけではその医院の真の価値は分からない。という事です。
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